電機業界の景況感が7カ月ぶりにプラス転換

独電気電子工業会(ZVEI)が10日発表した独電機業界の1月の景況感指数はプラス2.8となり、前月のマイナス1.9から改善した。同指数がプラスの領域へと回復するのは7カ月ぶり。貿易紛争中の米中が貿易協定の「第一段階の合意」に達するなど、世界経済に明るい材料が出てきたことが反映された格好だ。

同指数は現状判断を示す指数と今後の見通しを示す期待指数の中央値。1月は期待指数(今後6カ月の見通しが「良い」とする回答の割合から「悪い」とする回答の割合を引いた数)がマイナス1.9ポイントからプラス6.9ポイントへと大きく上昇した。現状判断指数(現状を「良い」とする回答から「悪い」とする回答を引いた数)もマイナス1.9ポイントからマイナス1.2ポイントへとやや改善している。

景況感指数が最も高かった業界は鉄道車両で、プラス44.9に上った。これに計測機器・プロセスオートメーション(+24.2)、スイッチ・開閉装置・産業用制御機器(+15.8)、医療機器(+15.8)、オートメーション(+15.4)、配線システム(+12.5)が続いた。鉄道車両は期待指数、医療機器と配線システムは現状判断がけん引車となった。

景況感指数が最も振るわなかったのは通信機器(-34.8)。娯楽家電(-26.1)、電線(-22.4)、電気駆動装置(-16.0)、照明(-11.5)もマイナス幅が2ケタ台に上った。

期待指数の改善に比例する形で、企業の生産意欲も高まっており、1月の生産計画(先行き3カ月)で「拡大」を予定する企業の割合は前月の14.4%から23.0%へ拡大。「縮小」は同22.0%から14.4%に減少しており、拡大から縮小を引いた数(ディフュージョン・インデックス=DI)はマイナス7.9ポイントからプラス8.8ポイントへと大きく上昇した。鉄道車両(DIが+100.0ポイント)、通信機器(同+31.2ポイント)、電子部品(+31.1ポイント)が全体をけん引した格好だ。娯楽家電(-65.2ポイント)、電線(-43.3ポイント)、配線システム(-25.4ポイント)、白物家電(-18.4ポイント)の4業界はマイナスとなった。

電機業界の2019年12月の新規受注高は前年同月を1.0%割り込んだものの、減少幅は前月の11.9%から大幅に縮小した。ユーロ圏外が10.6%増加して全体をけん引。国内は7.4%、ユーロ圏(ドイツを除く)は8.5%落ち込んだ。

12月の業界生産高は物価調整後の実質で前年同月比6.7%減だった。

同月の業界売上高は151億ユーロで、前年同月を3.5%下回った。国内が3.4%、ユーロ圏が5.2%、ユーロ圏外が2.7%の幅で縮小した。

1月(第1四半期初頭)の工場稼働率は平均81.5%だった。10月(第4四半期初頭)の83.6%に比べると2.1%低下している。

19年の新規受注高は前年比で3.2%落ち込んだ。国内とユーロ圏がともに4.6%減少。ユーロ圏外も0.8%後退した。実質生産高は4.3%減だった。工場稼働率は85.3%に上った。

同年の売上高は1,905億ユーロで、前年を1.5%割り込んだ。国内が2.2%減の897億ユーロへと後退。ユーロ圏は1.0%減の369億ユーロ、ユーロ圏外は0.9%減の639億ユーロだった。

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