東レ、独子会社が燃料電池用部材の第2工場を建設

東レ(東京都中央区)はこのほど、ドイツ子会社のグリナリティ(Greenerity)が燃料電池用部材の第2工場を建設すると発表した。3月2日に起工式を行った。第2工場は、2021年11月に稼働を開始する予定。

第2工場では、燃料電池や水電解装置(水を電気分解して水素と酸素を発生させる装置)の部材である触媒付き電解質膜(CCM)と膜・電極接合体(MEA)を生産する。フル稼働時には、両製品合わせて年間約1千枚を生産することができる。これは、航続距離延長装置(レンジエクステンダー)式デリバリーカーの約8万台に相当する。

第2工場の建設は、自動車分野における燃料電池の需要拡大を見込んだ顧客からの増産・供給要請を受けた措置。

東レによると、地球温暖化防止対策として、内燃エンジン車を対象とした二酸化炭素(CO2)排出規制や政策が打ち出されている中、欧州や中国では、自動車部品大手や自動車メーカーがバス、トラック、デリバリーカーなどの商用車向けのレンジエクステンダーや乗用車向けを含む燃料電池車に使用する水素・燃料電池分野へ本格参入している。これによりCCM、MEAの需要は大幅に増加する見通し。

東レは2015年に、、ベルギーの非鉄金属大手ユミコアとベルギー化学大手のソルベイが折半出資でドイツに設立した合弁会社SolviCoreを買収し、100%子会社の新会社グリナリティを設立した。SolviCoreは、CCMとMEAの開発・生産・販売を事業としていた。東レは、グリナリティのノウハウと、東レが保有する燃料電池や関連分野の製品・技術との相乗効果を通して当該分野の事業を強化してきた。

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