ドイツテレコム(ボン)は1日、米移動通信子会社TモバイルUSがソフトバンク傘下のスプリントと同日付で合併したと発表した。合併合意から約2年を経てようやく目標を実現した。ドイツテレコムのティム・ヘットゲス社長は「歴史的な日だ」と感慨を示すとともに、「次の目標は1位になることだ」と明言。米市場2大大手のAT&Tとベライゾンの追撃に意欲を示した。
ドイツテレコムとソフトバンクは2018年4月、TモバイルUSとスプリントを合併することで合意した。同計画に対しては独禁法上の懸念が持たれていた。市場プレイヤーが現在の4社から3社に減る結果、健全な競争が弱まり、通信料金の上昇につながる恐れがあるためだ。
これを受けドイツテレコムとソフトバンクは当局に譲歩。司法省は19年7月、周波数帯とプリペイド式携帯サービス事業、店舗数百カ所を米衛星放送大手のディッシュ・ネットワークに譲渡するほか、ディッシュが新会社の通信網を7年間、利用できるようにすることを条件に合併を承認した。その後、複数の州が差し止め訴訟を起こしたものの、訴えが退けられたことから、合併が実現した。
TモバイルUSは合併により顧客数を8,600万件から1億4,000万件へと大幅に拡大。同約1億6,000万件のAT&T、ベライゾンとの差を大幅に縮めた。
新会社への出資比率はドイツテレコムが約43%、ソフトバンクが約24%、その他の株主が計33%。ソフトバンクは保有する新会社株の議決権をドイツテレコムに付与したことから、ドイツテレコムは過半数議決権を行使できる。