EUが雇用維持へ千億ユーロの融資制度創設、欧州委はドイツの「操短手当モデル」を推奨

欧州連合(EU)の欧州委員会は2日、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける域内企業の雇用を維持するため、総額1,000億ユーロ規模の融資制度を創設する計画を発表した。市場から調達した資金を加盟国に低利で貸し付け、各国政府が実施する雇用対策を支援する。加盟国の承認を経て早期の実現を目指す。

計画によると、欧州委はEUのトリプルA格付けに基づく250億ユーロの保証を活用して1,000億ユーロを借り入れ、雇用対策に取り組むすべての加盟国に低利で融資する。イタリア、スペイン、フランスなどは「コロナ債」と呼ばれるEU共同債の発行を求めており、欧州委の提案を支持するとみられる。

加盟国は業績悪化に直面しながら雇用維持に努める企業に対してさまざまな支援策を打ち出しているが、欧州委は1人当たり労働時間を短縮して従業員の解雇を回避するドイツ型の操短手当モデルを採用するよう促している。同モデルでは労働時間の短縮による給料減額分の60~67%を政府が補てんする仕組み。従業員を維持することで、需要が上向いたタイミングで即座に通常業務を再開することができる。

欧州委のフォンデアライエン委員長は「前例のない取り組みだ。EUが連帯してあらゆる手段を講じ、景気後退の影響を緩和してEU市民が働き続けられるようにする」と述べた。

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