欧州委員会は14日、英製薬大手アストラゼネカが開発中の新型コロナウイルスのワクチンを最大4億回分購入することで合意したと発表した。13日には米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)からも最大4億回分のワクチンを購入すると発表した。7月末には仏サノフィから3億回分のワクチンの供給を受けることで合意しており、これまでに最大11億回分を確保したことになる。ただ、現時点で実際に有効性が証明されたワクチンはないため、全ての加盟国にまんべんなく行き渡るよう、引き続き有望視されるワクチンの先行確保を急ぐ。
アストラゼネカとの合意によると、同社のワクチンが承認された場合、欧州委はまず3億回分を買い取り、さらに1億回分を追加購入する権利を得た。一方、J&Jとの予備協議による合意では、同社のワクチンが承認された場合、まず2億回分を購入し、さらに2億回分の追加購入が可能だ。
一方、英政府は14日、米バイオ医薬品企業ノババックスとJ&J傘下のヤンセンファーマから、新型コロナのワクチンをそれぞれ9,000万回分、3,000万回分確保したと発表した。ヤンセンファーマからは2,200万回分を追加購入できる権利も得る。
英国はこれまでにアストラゼネカなど4社から計2億5,000万回分のワクチンを確保していた。今回新たに2件の契約が成立し、新型コロナで4万人以上の死者を出した英国は、人口6,600万人に対し、最大で3億6,200万回分のワクチンを確保したことになる。
こうした中、アルゼンチン政府は12日、アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発中のワクチンを、同国とメキシコで受託生産すると発表した。2021年前半にも生産を開始し、1億5,000万回~2億5,000万回分のワクチンをブラジル以外の中南米諸国に供給するという計画。
アストラゼネカによると、現在、英国やブラジルで行われている第3段階の大規模な臨床試験は12月までに終了する見通しで、来年第1四半期にもアルゼンチンとメキシコでの生産開始が可能。まず1億5,000万回分を生産し、その後少なくとも4億回分に拡大するという。
アストラゼネカのワクチンを巡っては、日本政府も今月7日、同社から1億2,000万回分の供給を受けることで基本合意したと発表した。成功すれば、来年3月までにまず3,000枚分が供給される。アストラゼネカは7月下旬、開発中のワクチンについて、初期段階の臨床試験で強い免疫反応が確認されたと発表しており、新型コロナ対策として早期の実用化に期待が高まっている。