EU・米が輸入関税引き下げで合意、米産ロブスターの関税撤廃

EUと米国は21日、一部の輸入関税を相互に引き下げることで合意したと発表した。EUはトランプ大統領が強く求めていた米国産ロブスターの関税を撤廃する。EU・米間の関税削減は過去20年以上で初めて。新たな貿易協定の締結に向けた協議が停滞する中、双方が対立の小さい一部品目の関税削減で歩み寄った格好だ。

EUは加盟国と欧州議会の承認を得たうえで、米国から輸入するロブスター(生鮮・冷蔵)の関税を8月1日に遡って撤廃する。当面の適用期間は5年間だが、欧州委は恒久化に向けて必要な手続きに入る。米通商代表部(USTR)によると、2017年のEU向け輸出額は1億1,100万ドル。

一方、米国は1億6,000万ドル相当のEUからの輸入品に対する関税を50%削減する。対象品目にはガラス製品、使い捨てライター、調理済み食品などが含まれる。

欧州委員会のホーガン委員(通商担当)とUSTRのライトハイザー代表は共同声明で「今回の相互に有益な合意はEUと米国双方の経済にプラスの結果もたらすだろう。米欧間のより自由で公正な貿易環境を実現するため、追加の合意に向けた出発点にしたい」と強調した。

米産ロブスターをめぐっては、米中貿易摩擦で中国から報復関税を課されたほか、EUが17年にカナダと包括的経済貿易協定(CETA)を締結して同国から関税ゼロでロブスターを輸入できるようになった結果、米国からの輸出が落ち込んで漁業関係者から不満が出ていた。トランプ氏は6月にロブスターの名産地である北東部メーン州を訪れた際、「EUが関税引き下げに応じなければ、EUから輸入する自動車に高関税を課す」と表明していた。

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