フランスを本拠とする欧州の多国籍取引所ユーロネクストは11日、イタリアの預託貸付公庫(CDP)とイタリア取引所の共同買収を検討していることを明らかにした。イタリア取引所の親会社であるロンドン証券取引所(LSE)がリフィニティブ買収の認可を得るため、同取引所の売却に乗り出していることを受けたものだが、同日にはドイツ取引所が対抗して買収を提案。スイス証券取引所を運営するSIXグループも買収を検討中と報じられており、激しい買収合戦が繰り広げられそうだ。
LSEは2019年8月、金融情報やリスク管理などのサービスを提供するリフィニティブを270億ドルで買収すると発表。EUの欧州委員会の認可を取り付けるため、競争上の是正策として07年に買収したイタリア取引所の売却を検討している。
パリ、ブリュッセル、アムステルダム、リスボン、ダブリンの証券取引所を運営するユーロネクストは、欧州で買収による基盤強化を進めており、19年6月にオスロ証券取引所を買収。今年1月には北欧の電力取引所ノルドプールを買収した。これらに続いてイタリア取引所の買収を目指す。消息筋によると、CDPと組むのはイタリア政府の意向に沿ったもの。政府はイタリア取引所への影響力を確保するため、政府系金融機関のCDPに共同買収を指示したという。CDPは見返りにユーロネクスト株式の8%程度を握るという情報もある。
ドイツ取引所はイタリア取引所に買収案を提示したと発表したが、取引額など詳細は明らかにしていない。