ソフトバンクグループは14日、傘下の英半導体設計大手アームを米半導体大手エヌビディアに売却することで合意したと発表した。子会社が保有するアームの全株式を最大400億ドルで売却する。約18カ月後の取引完了を見込んでいる。
ソフトバンクは傘下のソフトバンク・グループ・キャピタル(SBGC)、ソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じて、アームの株式100%を保有している。売却は現金支払いと株式交換を組み合わせた形で実施される。エヌビディアは契約時に20億ドルをアームに現金で支払い、SBGCとソフトバンク・ビジョン・ファンドは手続き完了時に現金100億ドルと215億ドル相当のエヌビディア株式を受け取る。
さらに、アームの業績に応じて最大50億ドルをSBGCとソフトバンク・ビジョン・ファンドに支払う。この場合、SBGCとソフトバンク・ビジョン・ファンドは現金、エヌビディア株式のいずれかを選ぶことができる。このほか、エヌビディアはアームの従業員に15億ドル相当の株式報酬を付与する。
SBGCとソフトバンク・ビジョン・ファンドは、取引完了後にエヌビディアの株式6.7~8.1%程度を保有する見通しだ。
ソフトバンクは2016年にアームを約240億ポンド(3兆3,000億円)で買収。同社は戦略的持株会社のソフトバンクグループにとって重要な資産となっていた。当初はアーム単独での再上場を検討していたが、人工知能(AI)コンピューティングなどで強みを持つエヌビディアとの連携の方が得策と判断した。
ソフトバンクは財務改善のため資産売却を進めており、今回の取引も同戦略の一環。ただ、取引完了には英国、中国、EU、米国などの競争当局の承認が必要となる。特にアームの本拠地である英国で厳しい審査が行われるとみられる。