欧州中央銀行(ECB)は4日に開いた定例政策理事会で、追加の量的金融緩和を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けたユーロ圏経済を下支えするため3月に導入した資産購入プログラムでの買い取り額を6,000億ユーロ増額し、1兆3,500億ユーロに拡大。資産購入の期間も延長する。
ECBは新型コロナウイルス感染拡大への対応として、3月12日の定例政策理事会で年末までに新たに総額1,200億ユーロの資産を買い取ることを決定。それでも新型コロナウイルス感染の欧州の中心地となっているイタリアの国債の急落が続くなど市場の動揺が収まらないため、6日後に緊急理事会を開き、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と呼ばれる新たな資産購入プログラムの実施を決め、国債、社債といった資産の購入を拡大することになった。
購入枠は7,500億ユーロだったが、今回の決定で6,000億ユーロ上積みする。2020年末としていた購入期限は少なくとも21年6月末まで延長することを決めた。一方、主要政策金利は0%、中銀預金金利はマイナス0.5%に据え置く。
ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、景気は5月に底入れしたかもしれないが、これまでの回復のスピードは新型コロナ危機による景気悪化のペースと比べて緩く、物価上昇も鈍化しているとして、資産購入拡大の必要性を強調した。