自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)は10日、小型商用車と電気自動車(EV)の分野で米同業フォードと契約を結んだと発表した。2018年6月に締結した戦略協業合意に基づくもの。車体の共有などを通して収益力を強化する狙いだ。
VWは両社のデリバリーバンを開発・製造。フォードも両社が販売する積載量1トンのトランスポーターを開発・製造する。VWはまた、フォード「レンジャー」の車台をベースとする中型ピックアップ「アマロック」を22年に市場投入する。両社はこれら3プロジェクトの車両を合わせて約800万台、生産する計画だ。
電気自動車の分野ではVWがフォードにEV専用車台「MEB」を提供。フォードはMEBベースのEVを23年から計60万台以上、生産し、欧州市場で販売する。
フォードが欧州市場向けEVをVWの車台を用いて生産する背景には、欧州連合(EU)の排ガス規制が強化されることがある。EUは走行1キロメートル当たりの乗用車と小型商用車の二酸化炭素(CO2)排出量を21年までに現在の平均130グラム以下から同95グラム以下に抑制する計画。30年には21年に比べ乗用車で37.5%、軽商用車で31%の引き下げを目指している。
同規制を遵守するためにはEVなど電動車の販売を大幅に増やす必要があるが、フォードはEVで出遅れていることから、VWの協力を仰ぐ。VWはMEBをフォードに供給することで同車台の生産量を増やし収益力を向上させる考えだ。