自動車大手の独ダイムラー(シュツットガルト)は3日、フランス東部のアンバッハ工場を売却する方針を発表した。新型コロナウイルスの影響で新車需要が落ち込むなか、生産体制を見直して経営の効率化を測る。
アンバッハ工場では高級小型車ブランド「スマート」を生産しており、従業員は約1,600人。ロイター通信によると、2017年の生産台数は約8万台だった。ダイムラーは今後、同工場の売却に向けた協議を進める方針で、リストラ費用として第2四半期(4~6月)に数億ユーロの特別損失を計上すると説明している。
オラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)は声明で「ダイムラーは電動化などへの投資を進めるなかで経営の効率化に取り組んできたが、新型コロナの影響で市場に新たな枠組みが生まれた。需要に合わせて生産体制を最適化する必要がある」と述べた。一方、マーカス・シェーファー取締役は「アンバッハ工場の未来を保証することが当社にとって重要だ」と強調。売却後も、スマートの現行モデルが引き続き同工場で生産されることが望ましいとの考えを示した。
ただ、ダイムラーは今年1月、中国の浙江吉利控股集団と折半出資でスマート事業を統括する合弁会社「スマート・オートモービル」を設立しており、2022年に発売予定の電気自動車は中国で生産する方針を打ち出している。
アンバッハ工場の買収には英化学大手イネオスの乗用車子会社イネオス・オートモーティブが早くも関心を示した。オフロード車を同工場で生産することを視野に入れている。