これまで専門家が時間をかけて行ってきたロボットのプログラミングを、専門的な知識を持たない生産ラインの労働者でも簡単に行えるシステムをドイツのスタートアップ企業ヴァンデルボッツ(Wandelbots)が開発した。創業者のクリスティアン・ピエヒニック社長がロイター通信に明らかにした。同社はロボット業界のマイクロソフトになることを目指している。
ヴァンデルボッツのシステムはプラットホームとアプリケーションソフト、ティーチング機器で構成される。プラットホームは様々なロボットとプログラミング言語に対応していることから、ほぼすべてのメーカーのロボットに対応できる。
ロボットへのティーチングやプログラム変更に際しては、パソコンのマウスに相当するセンサー内蔵の「トレースペン」を使用する。トレースペンを手にして作業例を実演するだけで自動的にプログラムが作成される。プログラミングに要する時間はわずか数分。コストも従来の10分の1に圧縮できる。
トレースペンは今年、1,000本を販売する予定で、納入先はすでに決まっている。自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は顧客企業の1社だ。
同社はドレスデン工科大学からのスピンオフとして2017年に設立された。今夏には米IT大手マイクロソフトと独電機大手シーメンスが出資。投資家からこれまでに調達した資金の総額は約3,800万ユーロに上る。ロボットプログラミング分野で世界最大手になることを目指している。ピエヒニック社長は「可及的速やかに売り上げを創出すること」が今後の課題だと述べた。将来の新規株式公開(IPO)を視野に入れている。