欧州で新型コロナ感染が再拡大、英仏などで移動制限や営業短縮

欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大してきた。気温の低下に伴いさらに感染拡大が加速する恐れもあり、英国やフランス、スペインで外出制限や営業時間の短縮など再び規制を強化する動きが広がっている。

英国のジョンソン首相は9月22日、首都ロンドンを擁するイングランドを対象とする感染防止策を発表した。24日からパブやレストランなど飲食店の営業時間を午後10時までとし、使用できるのはテーブル席だけで、カウンターでの立ち飲みなどを禁止することなどが柱。このほか仕事に支障がなければ可能な限り在宅勤務とすることや、小売店などでのマスク着用を義務化し、違反した場合は罰金を科すことなどが含まれている。イングランドでは既に9月14日から7人以上の集会が禁止されているが、今春に全土で実施した都市封鎖とは異なり、学校の閉鎖などは行わない方針。

ジョンソン首相は「われわれは今、危険な岐路に立っている」強調。大部分の国民はマスク着用など感染防止のためのルールを守っているものの、違反者も多いと指摘。「ルールを守れない場合はさらに踏み込んだ措置を講じる必要が生じる」と警告し、状況が悪化した場合は都市封鎖を含むさらに厳格な規制を検討する可能性を示唆するとともに、悪質な違反者には最大で1万ポンド(約135万円)の罰金を科す方針を明らかにした。

英国では24日に確認された1日の新規感染者数が6,634人と、過去最多を記録した。21日にはバランス首席科学顧問が会見を開き、新たな対策を講じなければ10月半ばには1日の新規感染者数が5万人に達すると警告。これを受けて政府が規制強化策を打ち出した。

一方、フランス政府は23日、南部マルセイユで26日からレストランやバーなど飲食店の営業を禁止するほか、パリや中部リヨン、南部トゥールーズでは集会の上限を5,000人から1,000人に引き下げるとともに、10時以降のアルコール販売を禁止すると発表した。これらの対策を15日間実施し、効果を見極めて継続の可否を判断する。

スペインでは首都マドリードの45地区を対象に、21日から通勤・通学などを除いて外出を原則禁止する措置が導入された。当面の実施期間は2週間。薬局などを除いて商店や飲食店は午後10時以降の営業が禁止されている。

こうした中でイラ保健相は25日、マドリードで実施されている部分的な都市封鎖を市内全域に拡大するよう勧告した。マドリード自治州政府によると、現在は首都の人口670万人のうち約100万人が影響を受けている。マドリード工科大学の調査によると、移動制限の対象となっている市民の約85%が域外に通勤・通学しており、専門家からは同措置の効果を疑問視する声が上がっている。

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