スイスの食品世界最大手ネスレは10月30日、料理宅配の米フレッシュリーを9億5,000万ドル(約1,000億円)で買収したと発表した。業績に応じて最大5億5,000万ドルを買収額に上乗せする。新型コロナウイルスの感染拡大でレストランなどの営業が一部で制限される中、自宅で手軽に健康的な食事をとりたい消費者の取り込みを図る。
フレッシュリーは2015年設立でニューヨークに拠点を置く。電子レンジやオーブンで加熱すれば食べられる調理済みの食材を週単位のサブスクリプション方式で提供しており、現在は国内48州で週当たり100万食以上を宅配している。20年の売上高は4億3,000万ドルに達する見通し。
フレッシュリーはこれまでにハイランド・キャピタル・パートナーズやホワイト・スター・キャピタルなどから1億700万ドルを調達しており、ネスレも17年に16%出資している。コロナ禍で急速に需要が増しており、今後も高い成長が見込める判断して買収に踏み切った。
米国ネスレのスティーブ・プレスリー会長兼最高経営責任者(CEO)は「消費者はこれまでになくeコマースを利用し、自宅で食事をするようになっている」と指摘。「これはパンデミックによってもたらされた革命だが、こうした傾向は長期的に続くとみている。フレッシュリーは急成長している革新的なスタートアップ企業であり、同社を傘下に置くことでネスレは米国の料理宅配市場で強固な基盤を確保できる」とコメントした。