新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない欧州で、ロックダウン(都市封鎖)を含む厳しい措置を再導入する動きが一段と広がっている。
イタリアのコンテ首相は4日、全土で午後10時から午前5時までの外出を原則禁止するほか、ミラノを擁する北部ロンバルディア州や南部カラブリア州など、最も感染状況が深刻な4つの州を対象に、日中も不要不急の外出を禁止する部分的なロックダウンを実施すると発表した。期間は6日から12月3日までの4週間。各地の感染状況をもとに、15日ごとに制限措置や対象地域を見直す。
4つの州では仕事や通院などを除いて外出が原則として禁止され、自治体をまたぐ移動も厳しく制限される。店舗も生活必需品を扱う小売店以外は閉鎖され、飲食店は持ち帰りや配達のみ営業が認められる。
イタリアでは10月末から1日の感染者数が3万人前後で推移しており、6日には3万7,809人と過去最多を更新。集中治療室(ICU)の重症者数も2,000人を超えた。コンテ氏は「一部の州では今後数週間でICUが限界を超える恐れがある」と警告。クリスマスに向けて感染拡大を抑制するため、行動制限のルールに従うよう国民に訴えた。
また、ギリシャ政府は5日、7日から3週間にわたり全土で封鎖措置を実施すると発表した。スーパーマーケットや薬局以外の営業は認められず、外出時には許可を取る必要がある。
同国では感染再拡大を受け、ミツォタキス首相が10月31日、夜間の外出禁止や公共交通機関でのマスク着用義務化、最低50%の在宅勤務導入義務など、全土で追加の制限措置を導入すると発表したばかり。今月に入り、新規感染者数が過去最多を更新するなど状況が悪化しているため、全土でのロックダウンに踏み切った。
一方、フランスでは10月30日から全土で不要不急の外出を禁止するなど、厳しい制限措置が再導入されたが、首都パリでは夜間の外出禁止を守らない市民が多いため、6日から新たな規制が導入された。追加されたのは午後10時~午前6時まで食事やアルコール類の持ち帰りや配達を禁止するなどの措置。イダルゴ市長は「ルールを守らない人が多いため、追加措置が必要と判断した」と述べた。
さらにポルトガルのレベロデソウザ大統領は6日、新たな非常事態に関する大統領令に署名したと発表した。これを受けてコスト首相は8日、9日から15日間にわたり、首都リスボンやポルトなど人口全体の70%を占める121の自治体を対象に、午後11時から~午前5時までの外出を禁止すると発表した。対象地域ではこの間、週末の午後1時~午前5時までの外出も禁止される。ただし、いずれも仕事や通院などのための外出は認められる。また、一部の小売店は閉鎖されるが、飲食店は持ち帰りのみ営業が認められる。
デンマークでコロナ変異種ミンクから人に感染、全頭殺処分と7地域封鎖
一方、デンマーク政府は4日、ミンクに新型コロナウイルスの変異種が発見され、人への感染も確認されたとして、国内で飼育するすべてのミンクを殺処分すると発表した。デンマークは世界最大のミンク毛皮の生産国。フレデリクセン首相は「変異によって新型コロナのワクチンが効かなくなる恐れがある」と述べ、1,000カ所を超える飼育場の約1,700万匹を早急に処分する方針を示した。
さらに政府は5日、変異したウイルスが人や動物の間で広がる事態を回避するため、北西部の7地域を封鎖し、域内への移動を禁止すると発表した。約28万人が影響を受ける。対象地域では公共交通機関の運行が停止され、飲食店や大部分の店舗も閉鎖される。