スペインのエネルギー大手イベルドローラは5日、世界的なクリーンエネルギー需要の拡大に対応するため、2025年までに再生可能エネルギー事業や送電網の整備などに750億ユーロを投じる計画を発表した。再生可能エネルギーによる発電量を2019年の32ギガワットから25年までに60ギガワットに増やし、純利益を34億ユーロから50億ユーロに引き上げることを目指す。
世界のエネルギー企業は気候変動対策で化石燃料に代わる新エネルギー分野に軸足を移す戦略を進めており、これまでに英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや英BP、仏トタルなどが相次いで大規模な投資計画を発表している。イベルドローラは当初、20年から年間100億ドルを投じて再エネ事業やスマートグリッド(次世代送電網)事業を強化する計画だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で石油需要の長期低迷が予想される中、新エネルギー分野への投資を大幅に拡大し、再エネ電力から作る「グリーン水素」などの領域で主導権確保を狙う。
計画によると、投資額の半分が米国と英国事業に配分される。イベルドローラは10月、米子会社アバングリッドを通じ、米南部で風力発電を手掛けるNMリソーシズを43億ドルで買収すると発表した。英国では電力大手スコティッシュ・パワーを傘下に置く。一方、スペインでは当初の2倍以上にあたる143億5,000万ユーロを投じ、グリーン水素を含む再エネ事業を強化する。