トルコ、新経済戦略は物価・金融安定化優先

トルコのエルドアン大統領は11日、物価、金融市場、金融政策の安定を柱に据えた新経済戦略を発表した。急激な物価上昇とトルコリラ下落に歯止めがかからない中、大統領は「トルコは金利、為替相場、インフレという『魔の三角地帯』と経済戦争をしている」と述べ、政策転換の必要性を強調。人事などを通じて状況の抜本的な改善に取り組む方針を示した。

エルドアン大統領は先ごろ、中央銀行のウイサル総裁を突然解任し、後任に元財務相のアーバル大統領顧問を任命した。新総裁には11%前後で高止まりしているインフレ率を抑制するため断固とした政策をとることが期待される一方、中銀の独立性を堅持して大統領の意に沿わない金融引き締め策を進めるのか、懐疑的な向きもある。健康上の理由で辞任を表明したアルバイラク財相の後任には元副大統領のエルヴァン氏が就任する。

トルコリラは2018年秋に1ドル=7リラを上回る史上最安値を付けた後、経済回復と歩調を合わせ一時回復に向かったが、今年に入って再びリラ安が加速。10月末には8.5リラまで下げ最安値を更新した。中銀によるリラ買い市場介入規模は今年10月までに約1,000億ドル規模に達したと見られ、外貨準備力への不安も高まっている。米格付け大手ムーディーズ・インベスターズが9月半ば、トルコの国際収支危機に陥るリスクや財政的余力の縮小を考慮して長期国債格付けを「B1」から「B2」に引き下げたことも、同国を一段と厳しい立場に追い詰めている。

上部へスクロール