ドイツのアンゲラ・メルケル連邦首相と国内16州の首相は16日にテレビ会議を開催し、新型コロナウイルスの感染状況について協議した。感染者数が高い水準にとどまっていることから、メルケル首相は制限措置強化を取り決める考えだったが、新規規制案のなかに実質的に実行不可能な項目が含まれるなど問題があったことから州の理解を得ることができず、会議では市民への勧告を取り決めるにとどまった。25日に次回の会議を開き、制限措置の強化を実現する意向だ。
同国では新規感染者数が1週間で倍増する感染爆発が続いたことから、国(連邦)と州は10月28日の会議で部分的なロックダウンの導入を決定。11月2日付で実施した。期間は30日までの約1カ月となっている。
16日の会議はロックダウンの効果を確かめるとともに、必要に応じて制限措置に修正を加えるために開催された。
新規感染者数はこのところ、増加にほぼ歯止めがかかっている。だが、現在も毎日1万人以上が新たに感染。人口10万人当たりの新規感染者数は140人超と、国が危険水準とする50人を大幅に上回っている。新規感染者数が大幅に減らないと重篤患者が増え続け医療崩壊につながりかねないことから、メルケル首相は今回の会議で制限措置の強化を決議する考えだった。
だが決議案には、同じ授業を二度に分けて行い、一度に受講する生徒の数を半分に減らすなど実情を無視した規制が盛り込まれていたことから、州が反発。決議案を採択できず、代わりに拘束力のない勧告を取りまとめた。
勧告の主な内容は◇呼吸器に風邪の症状がある場合は症状が治まるまで外出を控える◇特定の1家族以外とは子供も含めプライベートで会わない◇私的なパーティを行わない◇日帰りであっても不要不急の私的な旅行をしない◇必要がなければ人が行きかう屋内にとどまらず、公共交通機関も利用しない――というもの。勧告以外では、66歳以上の高齢者とリスクグループに属する人に感染防止効果の高い医療用マスク(FFP2)15枚を12月初旬から低価格で提供することを取り決めた。