鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップ(エッセン)は19日の決算発表で追加人員削減方針を明らかにした。新型コロナ危機で業績が一段と悪化したためで、新たに5,000人を今後3年で整理。削減規模は昨年春に打ち出した6,000人から1万1,000人に拡大することになる。
2020年9月通期決算の営業損益(EBIT、調整済み)は継続事業ベースで16億3,300万ユーロの赤字となり、赤字幅は前期の1億1,000万ユーロから大幅に拡大した。新型コロナ危機の直撃を受けて鉄鋼、部品事業が低迷。特に自動車向けが振るわなかった。売上高は15%減の288億9,900万ユーロで、売上高営業利益率は前期のマイナス0.3%からマイナス5.7%へと落ち込んだ。純損益は55億4,700万ユーロの赤字で、赤字幅は前期の11億5,300万ユーロから5倍に膨らんだ。
非継続事業を含む決算の純損益は95億8,500万ユーロの黒字となり、前期の赤字(3億400万ユーロ)から大きく好転した。エレベーター部門の売却で150億ユーロを計上したことが大きい。
21年9月期は売上高で1ケタ台(パーセントベース)の前半から半ばの増加、EBIT(調整済み)で1億ユーロのケタ台半ばの赤字、純損益で10億ユーロ以上の赤字を見込む。
マルティーナ・メルツ社長は業績不振の鉄鋼部門について来春にも基本方針を決定する見通しを明らかにした。売却、提携、合併などあらゆる可能性をタブーなしで検討する。同部門に対しては英鉄鋼大手リバティ・スティールが買収を打診している。一方、金属労組IGメタルはリバティによる買収に反対。国の資本参加を要求している。