ボルボ・カーズが複合現実シミュレーターを開発、現実の道路に仮想の現象を投影

スウェーデン乗用車大手のボルボ・カーズは19日、複合現実(MR)技術を活用したドライビングシミュレーターを開発したと発表した。同社が「究極のドライビングシミュレーター」と呼ぶもので、実際の道路を運転するドライバーに仮想の現象を体感させることが可能になる。運転中に想定される様々な交通シナリオについて実車を用いた安全なシミュレーションができるため、費用と時間の節約につながると期待される。

同シミュレーターは、リアルタイム3D開発向けプラットフォームのユーニティと、フィンランドのVR(仮想現実)・MR(複合現実)技術開発会社バリヨの最新技術を導入して開発された。高精細の3Dグラフィックスに、拡張現実(AR)感をもたらすヘッドセットと触覚フィードバックが得られる全身スーツ型デバイス「テスラスーツ」を組み合わせることで、道路(テストコース)を走行するドライバーは、事前に設定されたシナリオによって現れる「道路に突然飛び出すトナカイ」など様々な現象について現実感を持って体験できる。

衝突回避技術のような安全システムに関わるテストの場合、実地で行うには危険が伴うため、時間と費用をかけて準備する必要がある。MRシミュレーターを使うことで、物理的な試作品の作製などをせずに、現実空間でテストを安全に繰り返し行えるようになる。ボルボは同シミュレーターにより、アクティブ・セーフティ、運転支援機能、自動運転のユーザーインターフェース、将来の新モデルなどについての知見が高まると見込んでいる。

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