英政府は4日、温室効果ガス排出量を2030年までに1990年比で少なくとも68%削減するとの新たな目標を発表した。英国では50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標が法制化されており、早期達成を目指して従来の53%から大幅に削減目標を引き上げる。
英国は21年11月にグラスゴーで開催される第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の議長国を務めることになっており、国際社会に温暖化対策への取り組みをアピールする狙いがあるとみられる。ジョンソン首相は「どの主要国よりも迅速に、30年までに排出量を削減する野心的な目標で世界をリードしていく」と強調。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の締結から5周年を迎える今月12日に国連と英国が共同開催するサミットで、他の締約国にも削減目標の引き上げを呼びかける考えを示した。
英政府は50年までの気候中立を実現するため、11月には「グリーン産業革命のための10項目プラン」と題する政策文書をまとめ、施策の目玉としてガソリン車とディーゼル車の新車販売を30年までに禁止する方針を打ち出した。ハイブリッド車(HV)も35年までに販売を禁止し、温室効果ガスを排出しない電気自動車(EV)の普及につなげる。10項目のプランには再生可能エネルギーの利用促進、原子力や洋上風力発電の推進なども盛り込まれており、政府は総額120億ポンド(約1兆6,000億円)を投じてこれらの施策を推進し、25万人の雇用を創出すると説明している。