欧州中央銀行(ECB)は15日、ユーロ圏の銀行による株主配当再開を2021年1月から認める方針を打ち出した。新型コロナウイルス感染拡大による経営環境悪化を見込み、3月から配当見送りを求めてきたが、財務の健全性を維持できることを条件に再開を容認する。
ECBは3月27日、ユーロ圏の銀行に少なくとも2020年10月まで、19~20年分の株主配当を控えるよう要請した。新型コロナウイルスの感染拡大で銀行の業績悪化が懸念される中、資本を温存して不良債権増加に備えるとともに、企業・個人への融資を優先させる狙いがある。7月には配当停止を少なくとも2021年1月まで継続するよう求めていた。
配当再開を認めるのは、新型コロナ用ワクチンの接種開始のめどがついたことで、銀行の経営環境が好転すると判断したため。ただ、黒字で財務が健全な状況にあり、融資を十分に行える銀行に限定する。また、配当総額は19~20年の利益の15%、または中核自己資本比率(CET1比率)の0.2%のどちらか低い方が上限となる。
ECBは同方針を勧告の形で打ち出した。勧告内容の期限は21年9月。