伊議会がコンテ内閣信任、政権崩壊は回避

イタリアの議会上院(定数321)は19日、コンテ内閣の信任投票を実施、賛成多数で信任した。下院も前日に賛成多数で信任しており、ひとまず政権崩壊は回避された。ただ、連立与党は上院で過半数に達しておらず、今後はどれだけ野党や無所属議員の支持を得られるかが政権運営のカギを握る。

上院での投票結果は賛成156、反対140、棄権16。下院では賛成321、反対259、棄権27で信任されていた。コンテ首相は上院で演説し、新型コロナウイルス感染拡大により「政府の結束が高まった」と強調。ツイッターへの投稿でも「国民の健康と経済の危機を克服するため、与野党が協力して新型コロナ対策に取り組まなければならない」と訴えた。

今回の信任投票は、レンツィ元首相が率いる少数政党「イタリア・ビバ」の連立政権離脱を受けて実施された。新型コロナからの経済の立て直しに向けた予算案を巡る対立が激化し、レンツィ氏は今月13日、同党所属の閣僚2人の辞任と連立からの離脱を表明。同氏は医療や教育への配分が不十分などと批判し、コンテ氏の退陣をもくろんだが、信任投票では連立与党の左派ポピュリズム政党「五つ星運動」と中道左派「民主党」に加え、野党の一部議員が支持に回り、賛成多数で信任された。

イタリアでは新型コロナによる死者数が累計で8万3,000人を超え、長期化する都市封鎖で飲食業や宿泊業などを中心に経済も深刻な打撃を受けている。国民の不満が高まる中、極右政党「同盟」などの右派勢力が受け皿として急速に支持を伸ばしている。

レンツィ氏は連立からの離脱を表明した際、「政治危機はわれわれが引き起こしたものではない」などと述べてコンテ政権を批判したうえで、条件によっては連立政権に再び参加する可能性を示唆した。しかし、与党側はイタリア・ビバと再び手を組むことはないと明言しており、今後は安定した政権運営に向けて少数政党との協力を模索するものとみられる。

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