英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空などの親会社である英インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は20日、スペインのエア・ヨーロッパを5億ユーロで買収することで合意したと発表した。両社は2019年に10億ユーロでの買収で合意したが、コロナ禍で経営が悪化したIAGが買収額の引き下げを求め、半額での買収にこぎ着けた。
エア・ヨーロッパはマドリードを拠点に、中南米・カリブ海諸国への長距離路線、国内線欧州線を運航している。IAGは19年11月に買収で合意し、20年下期に買収手続きを完了する予定だった。しかし、直後の新型コロナウイルス感染拡大で大打撃を受け、資金難に陥ったことから、エア・ヨーロッパの親会社に値下げを求めていた。
エア・ヨーロッパもコロナ禍で経営が急速に悪化し、スペイン政府が産業出資公社(SEPI)を通じて4億7,500億ユーロの公的支援を実施した経緯がある。それでもIAGはコロナ終息後の航空需要のV字回復を見込み、買収は断念せず、価格を大幅に引き下げて取引を成立させた。さらに、代金支払いを買収完了の6年後まで猶予するという合意も取り付けた。
買収にはEUの欧州委員会の承認が必要。IAGは21年下期の買収手続き完了を見込んでいる。買収後は傘下のイベリア航空と業務を統合する計画だ。