半導体大手のルネサスエレクトロニクス(東京都江東区)は8日、英同業のダイアログ・セミコンダクター(以下、ダイアログ)の買収について合意したと発表した。ダイアログの全株式を取得し、完全子会社化する計画。ダイアログの強みである低電力の半導体とエレクトロニクス機器のネットワーク化に関する技術を獲得し、今後の製品開発に生かしていく。2021年末までの買収完了を予定している。
ルネサスエレクトロニクスはダイアログの株式1株あたり67.50ユーロを提示する。これは5日の終値を20.3%上回る価格。買収総額は約49億ユーロ(約6,157億円)となる見通し。
ダイアログは、ミクスドシグナルなどのアナログ半導体の開発・製造・販売を事業とする。従業員数は約2,300人で、フランクフルト市場に上場している。
ダイアログは、低電力のミクスドシグナル技術を強みとし、モノのインターネット(IoT)や家電分野、自動車や産業分野など幅広い顧客にさまざまな製品を提供している。また、先進的なコネクティビティ技術を持ち、スマートホーム、ビルディングオートメーション、ウェアラブルデバイス、コネクテッド医療機器などに通信機能を提供している。なお、メディア報道によると、ダイアログの売上高のうち同社の大口顧客である米アップル向けが全体の50%以上を占めている。
ルネサスエレクトロニクスは自社製品と補完関係のあるダイアログの技術の獲得により、IoT、産業、自動車分野向けなどに包括的なソリューションを提供できるようになる。