英政府統計局が12日発表した同国の2020年の実質国内総生産(GDP)成長率(速報値)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で前年比9.9%減となった。統計局の記録が残る1948年以降で最大の落ち込み。英イングランド銀行(中央銀行)の統計も含めると、大寒波に見舞われた1709年以来、311年ぶりの減少幅とみられる。
実質成長率が通年でマイナスとなったのは、リーマンショック後の09年(4.1%減)以来11年ぶり。ただ、第4四半期は前期比4.0%増と好転し、12月単月のGDPも1.2%増と、11月の2.3%減からプラスに転じた。業種別では12月のGDPが製造業で前年同月比2.5%減だったのに対し、サービス業は7.2%減と落ち込んだ。
21年第1四半期は3回目のロックダウン(都市封鎖)やEU完全離脱に伴う混乱などの影響で、大幅なマイナスとなる見通し。英中銀は第1四半期に4%のマイナス成長となるものの、第2四半期以降はワクチン接種の進展に伴い新型コロナ危機以前の水準に向けて急速に回復するとみており、通年では前年比5%の成長を見込んでいる。
英国では20年3月下旬に最初のロックダウンに入り、生活必需品の販売を除いてほとんどの店舗が閉鎖を余儀なくされた。イングランドでは第1波が落ち着いた7月以降に飲食業や観光業が盛り返したが、9月下旬から徐々に感染が再拡大し、11月には再びロックダウンを実施。英国では現在も新規感染者が1日あたり約1万人、死者数は700~1,000人程度で推移している。