欧州議会は10日の本会議で、新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けたEU経済の復興に向けた「復興基金」の中核となる「復興・強靭化ファシリティー(RRF)」の創設、運用規則を承認した。11日にはEU加盟国が最終承認し、2月19に規則が発効することになった。
総額7,500億ユーロの復興基金は、欧州委員会が市場で調達した資金をEUの中期予算に組み込み、新型コロナによる経済の打撃が大きい国に補助金と融資の形で配分するというもの。補助金が3,900億ユーロ、返済不要の融資が3,600億ユーロとなる。加盟国は昨年7月の首脳会議で創設を承認していた。
同基金のうち6,725億ユーロ(補助金3,125億ユーロ、融資3,600億ユーロ)がRRFに充てられる。RRFは使途が地球温暖化対策、デジタル化推進などの事業に限定されており、加盟国は事前に事業計画を欧州委に提出し、審査を受ける必要がある。規則には加盟国が受け取る資金の37%以上を地球温暖化対策、20%以上をデジタル化に関する事業に投入することを義務付けるルールが盛り込まれた。
RRFによる支援の期間は3年。各国は当初、事業費の最大13%に相当する額の支援を要求できる。残りは計画で定めた目標の達成度に応じて配分される。
事業計画の提出期限は4月末。これまでに18カ国が提出した。欧州委による審査を経て、欧州理事会が承認すれば支援を受けることができる。支援は2021年半ばに開始される見通しだ。