2021/2/22

EU情報

欧州委が変異ウイルスへの対策強化発表、検査法開発や研究協力に資金支援

この記事の要約

欧州委員会は17日、変異した新型コロナウイルスへの対策を強化すると発表した。英国由来をはじめとする変異ウイルスの感染が広がる中、変異型に適した検査方法の開発やゲノム解析、関係機関による研究協力などを資金面で支援するほか、 […]

欧州委員会は17日、変異した新型コロナウイルスへの対策を強化すると発表した。英国由来をはじめとする変異ウイルスの感染が広がる中、変異型に適した検査方法の開発やゲノム解析、関係機関による研究協力などを資金面で支援するほか、ワクチンの承認手続きを迅速化することなどが柱。今月25~26日に開くオンライン形式の首脳会議で一連の対策案について協議する。

欧州では新型コロナの新規感染者数自体は減少傾向にあるものの、スロバキアでは英国型の感染が全体の74%、デンマークでも同45%を占めるなど、引き続き変異ウイルスが広がっている。英国の専門家によると、ロンドン近郊ケントで確認された変異ウイルスはさらに変異しており、ワクチンの効果を脅かす恐れがあると警告している。

変異ウイルスの抑え込みに向けて欧州委が打ち出した対策の柱は 1)検査方法の開発と研究の推進 2)ワクチンの承認にかかる行政手続きの見直し 3)ワクチン生産と供給体制の強化。

1)については変異ウイルスに適した検査方法の開発や、遺伝子変異の解析などに少なくとも7,500万ユーロ(約96億円)を宛てるほか、新たに1億5,000万ユーロを投じて変異ウイルスの研究を推進する。また、EU加盟国とスイスやイスラエルなどがネットワークを構築し、ワクチンの臨床試験データを共有したり、情報交換できるようにする。

2)に関しては既に承認済みのワクチンに改良が加えられたものである場合、欧州医薬品庁(EMA)が迅速に承認できるよう規制を見直す。また、ワクチンの製造施設についても申請前の段階から規制当局が関与して情報収集などにあたり、迅速に認可できるようにする。

3)については変異ウイルスに対応したワクチンの確保に向けてこれまでと同様、製薬会社との間で事前購入契約を結び、既存の契約も必要に応じて見直す。また、実際のワクチン供給が予定より遅れて各国で接種スケジュールが大幅にずれ込んでいる現状を踏まえ、今後の契約に際して確実なタイムスケールでEU域内での詳細な生産・供給計画を提示するよう製薬会社に求める。さらにEUの安全基準を満すことを条件に、「必要があればEU域外からの調達を検討することも排除しない」としている。

欧州委のフォンデアライエン委員長は「すべてのEU市民ができるだけ早く、安全で有効なワクチンを接種できるようにすることが最優先事項だ。科学界と産業界、公的機関が協力してこの難題に取り組む必要がある」と強調した。