フランスのベラン保健相は1日、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発した新型コロナウイルスワクチンの接種について、年齢制限を緩和する方針を示した。ワクチン接種を促進するためで、これまで65歳未満としてきた接種対象を74歳未満に拡大する。4日にはドイツも追随し、制限を緩和した。
アストラゼネカのワクチンはEUでは1月29日に承認された。欧州医薬品庁(EMA)18歳以上の全年齢層への投与を認めている。しかし、仏当局は2月2日、高齢者への効果が確認できていないとして、接種対象を65歳未満とすることを勧告していた。
ベラン保健相は仏テレビ局とのインタビューで、政府諮問機関の高等保健機構(HAS)が高齢者への効果を確認したとして、同ワクチンの使用制限を緩和する意向を表明。新型コロナに感染すると重篤化するリスクが高い糖尿病などの持病がある65~74歳の人についても接種を認めることを明らかにした。
これまでフランスでは、EUが承認したワクチンのうち米ファイザーと独ビオンテックの連合、米モデルナのワクチンに限って75歳以上の接種を認めてきた。このため、ワクチンが全体的に不足し、接種が遅れている中で、アストラゼネカのワクチンだけは余剰在庫があり、調達した110万回分のうち24%しか使われていない状況となっていた。
ベラン保健相によると、年齢制限緩和によって新たに250万人がアストラゼネカのワクチンを接種できるという。
EUではドイツのワクチン委員会も同ワクチンの65歳以上への接種を推奨していなかったが、4日に方針転換を発表した。独仏が制限緩和に踏み切り、世界保健機関(WHO)の諮問委員会も2月に65歳以上の高齢者に対しても「接種を推奨する」との中間報告を出したことで、同制限を導入しているイタリア、オーストリアなども追随する可能性がある。