ドイツのメルケル首相と国内16州の首相は3日のテレビ会議で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施しているロックダウン(都市封鎖)を28日まで延長するとともに、規制を緩和することを取り決めた。
新規感染者数が増加に転じているほか、従来のウイルスに比べ感染力の高い変異株の感染者も増えて「感染第3波」の到来が懸念されているものの、厳しい規制の長期化に対する不満が市民や経済界に広がっていることから、制限措置を慎重に緩めることにした。ワクチン接種の加速と、検査結果がすぐに得られる抗原検査の大規模な実施を通して爆発感染を防ぐ考えで、メルケル首相は「2021年の春は(ワクチンがなく抗原検査の実施能力も限られていた)昨春とは違う」と強調した。
ドイツでは11月初旬にロックダウンが再導入され、12月中旬に制限措置が大幅に強化された。この結果、感染者数は大幅に減少。人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)はピーク時の150人超から2月中旬には57人まで減少した。しかし、その後は再び増加。2日時点で64人に達している。
感染力の高い英国型変異ウイルスの感染が急速に広がっていることが背景にあるとみられる。ロベルト・コッホ研究所(RKI)の3日の発表によると、新規感染件数に占める英国種の割合は2月第4週(22~28日)に46.1%となり、第2週(同22%)の2倍を超えた。メルケル首相は「パンデミックの新たな段階」に突入する恐れがあると警戒を強めている。
それでも、ロックダウン再導入から4カ月が過ぎ、厳しい規制にストレスをためる市民が増加し、店舗営業再開のメドが立たない小売店やサービス事業者は悲鳴を上げていることから、国と州は一定条件を満たす地域について制限措置を段階的に緩めることを決めた。
営業規制は8日から緩和される。本屋、花屋、園芸センターは同日から生活必需品の販売店へと取り扱い区分が変更され、感染者数の多少にかかわらず営業できるようになる。マッサージ店など顧客と至近距離で仕事を行うサービス事業者と、自動車教習所も営業が解禁される。
7日間の発生数が50人未満の地域ではあらゆる種類の小売店が営業を再開できる。入店者数は店舗面積800平方メートルまでが10平方メートル当たり1人で、800平方メートルを超える部分については20平方メートル当たり1人となる。博物館や動物園も再開される。
7日間の発生数が50~100人の地域では事前に予約をした顧客を対象に店舗営業が認められる。同時に入店できる顧客の数は40平方メートル当たり1人が上限。感染経路を事後的に追跡できるようにするため、顧客データの記録が義務付けられる。博物館や動物園も事前予約と顧客データの記録が再開の条件となる。
7日間の発生数が100人以上の地域では本屋やマッサージ店を除き規制が緩和されない。
規制緩和から2週間が経過しても(早ければ3月22日)新規感染者数が一定の枠内(50人未満ないし100人未満)にとどまれば、規制は一段と緩和される。7日間の発生数が50人未満の地域では飲食店がテラスなどの屋外でサービスを提供できるようになる。劇場、コンサートホール、映画館も解禁される。
同50~100人の地域では屋外での飲食サービスが予約客に限って認められる。顧客データの記録が義務付けられる。世帯を異にする人同士が同一の席に座る場合は、その日に行われた抗原テストで感染していないことを証明しなければならない。抗原テストは劇場、コンサートホール、映画館でも義務付けられる。