ドイツポストDHL、気候中立の取り組みに70億ユーロ投資

独郵便事業・物流大手のドイツポストDHLは22日、同社の気候中立に向けた取り組みに2030年までに70億ユーロを投資する計画を発表した。航空機用の代替燃料、エミッションフリーの電動車の投入、建物における気候中立などに投資する。また、2021年5月に予定する次回の株主総会では、取締役の報酬システムをESG(環境・社会・企業統治)に関する目標に連動させることを提案する。同社はさらに、企業に対して科学的な知見と整合した温室効果ガス排出量の削減目標を設定するよう求めるイニシアチブ「サイエンス・ベースド・ターゲット(SBT)」にも参加する。

具体的な取り組みとしては、ラストワンマイル(最寄りの集配センターから最終的な配達先までの最後の配達区間)に使用する電動車を2030年までに8万台以上に引き上げる。これによりラストワンマイルの車両における電動車の割合は60%に拡大する(2020年:18%)。

また、2030年までに航空貨物輸送および長距離輸送に使用する燃料需要の少なくとも30%を持続可能な燃料とする。オフィスや配送センター、物流倉庫などの環境負荷の低減にも投資する方針であり、新しい建物はすべて気候中立とする。

同社は、これらの措置を実行しなかった場合の2030年の同社のCO2排出量が約4,600万トンに拡大すると試算している。2020年のCO2排出量は3,300万トンだった。同社は、事業規模が拡大する中で、CO2排出量を2030年までに年2,900万トン未満に削減する目標を掲げている。

ドイツポストDHLは2008年からCO2削減などの持続可能性に関する目標を設定してきた。2017年には2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を発表した。2019年に導入した「ストラテジー2025」では、持続可能性が同社の経営戦略の構成要素の1つに組み込まれている。

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