ドイツ連邦統計局が30日発表した3月の消費者物価統計(速報値)によると、欧州連合(EU)基準の同国のインフレ率は前年同月比2.0%となり、前月の1.6%から上昇した。インフレ率は今後さらに高まり、欧州中央銀行(ECB)が適正水準とする同2%弱を大きく上回ると予想されている。欧州最大の経済規模を持つドイツの物価上昇はユーロ圏全体のインフレ率を押し上げることから、ECBが展開する金融緩和策への見直し圧力が高まる可能性もある。
同国のインフレ率は1月以降、急速に上昇している。背景には◇世界経済の回復などを受けた原油価格の上昇◇二酸化炭素(CO2)の排出を有償化する国内ルールが1月1日付で施行されたこと◇新型コロナ危機対策の一環で昨年7月に引き下げられた付加価値税率が1月から元の水準に戻されたこと――がある。
インフレ率が今後さらに上昇するのは◇石油価格が昨年4月に急落した反動が今年4月から出始める◇付加価値税を元の水準に戻した影響が7月から一段と強く出るようになる――ため。独連邦銀行(中銀)はこれらの事情を踏まえ、インフレ率が年末には3%に達すると予想している。
EU基準の3月のインフレ率は前月比でも0.5%に達した。
ドイツ基準のインフレ率は前年同月比が1.7%、前月比が0.5%だった。前年同月比で物上げ幅が大きかったのはエネルギーで、4.8%に達した。食料品は同1.6%。物品全体では1.9%となり、前月の1%から大幅に拡大した。物価に占める比重が53%に上るサービスも前月の1.4%から1.6%へと上昇している。