スウェーデンの商用車大手ボルボと鉄鋼大手SSABは8日、化石燃料を使わずに生産する鉄鋼を用いた車両の開発、製造で提携したと発表した。脱炭素社会実現に向けた取り組みの一環で、年内に試作車を製造する予定だ。脱化石燃料の鉄鋼だけで作られる車両は世界初となる。
製鉄で主流となっている高炉製鉄法では、鉄鉱石中の酸素を除去する還元工程で、石炭を蒸し焼きにして抽出したコークスが使われるが、その過程で二酸化炭素(CO2)が発生する。ボルボとSSABは再生可能エネルギーを利用して製造される水素をコークスの代わりに使う製鉄技術を開発し、これによって生産された鉄鋼をボルボの車体、部品に用いる。製鉄の電源も再生可能エネルギー由来の電力に切り替える。
ボルボは試作車製作に続き、22年に小規模の連続生産(特定の製品を一定期間、連続して生産する方式)を開始。段階的に量産化を進める。
SSABは化石燃料を使わない鉄鋼を26年に商業規模で生産し、ボルボ以外にも提供する計画だ。