2021/4/19

EU情報

EUがファイザー連合のワクチンを追加調達、アストラゼネカなどに見切りか

この記事の要約

欧州委員会は14日、米製薬大手ファイザーと独バイオ企業ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス用ワクチンについて、EUが4~6月分として5,000万回分を追加調達することで両社と合意したと発表した。22、23年に計1 […]

欧州委員会は14日、米製薬大手ファイザーと独バイオ企業ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス用ワクチンについて、EUが4~6月分として5,000万回分を追加調達することで両社と合意したと発表した。22、23年に計18億回分を調達する方向で交渉を開始したことも明らかにした。英アストラゼネカ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンに問題が浮上していることから、安全性と契約順守の両面で信頼できるファイザー連合のワクチンへの依存を高め、域内での接種が円滑に進むようにする。

これまでにEUはファイザー連合から年内に最大6億1,000万回分を調達することになっていた。4~6月は2億回分の予定だったが、今回の契約で10~12月分を前倒しで調達することになり、2億5,000万回分に拡大する。

EUはファイザー連合のほかアストラゼネカ、米モデルナ、J&Jのワクチンを承認済み。J&Jを除く3種の接種を開始している。しかし、供給の遅れで接種が予定通り進んでいない。とくにアストラゼネカは1~3月に1億2,000万回分を供給する予定だったが、実際の納入は3,000万回分にとどまった。4~6月分も供給が遅れている。

さらに、アストラゼネカとJ&Jのワクチンをめぐっては、接種後に血栓が発生する事例が確認され、安全性への懸念が広がっている。アストラゼネカ製については、すでに欧州で接種対象を50~60代以上などとする動きがでていたが、デンマーク政府は14日、接種を中止すると発表した。欧州での接種凍結は初めてだ。

J&Jのワクチンは1回の接種で済むタイプで、EUはワクチン接種加速の切り札として期待していた。ところが、米国で接種後に血栓症を発症した事例が報告され、米疾病対策センター(CDC)と米食品医薬品局(FDA)は13日、国内での接種を一時中断することを勧告。J&Jは同日、12日に開始したばかりのEUへの供給を遅らせると発表した。

これを受けて、EUではイタリア、スペイン政府などが接種開始を見送る意向を表明。欧州医薬品庁(EMA)は14日、J&J製ワクチンの域内での接種の可否に関する勧告を次週に出すと発表した。

一方、ファイザー連合のワクチンには、これまでのところ深刻な副反応の報告はなく、EUへの供給も、ほぼ合意通りに進んでいる。このため、欧州委はファイザーとビオンテックを「信頼できるパートナーだ」(フォンデアライエン委員長)として、調達を増やすことを決めた。EUは同ワクチンを域内での接種の主軸とすることも視野に入れているもようで、イタリアの有力紙ラ・スタンパは14日、伊保健省筋の情報として、欧州委がアストラゼネカ、J&Jと新たな調達契約を結ばないことを決めたと報じた。