コロナワクチンの豪向け輸出、EUが新たに差し止めか

オーストラリアのモリソン首相は7日、EUが域内で生産された英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの同国への輸出を新たに差し止めているとして、早急に輸出を認めるよう要請していることを明らかにした。これに対してEU側は、差し止めの事実はないと反論しており、双方の主張は食い違っている。

EUはワクチン不足を受けて、域内で製造された新型コロナ用ワクチンの輸出を1月30日から制限している。メーカーによる輸出を許可制とし、EUとワクチン購入の事前契約を結んだ製薬会社が契約を順守して域内に供給していない場合は差し止める。3月下旬には輸出制限の対象を広げ、対象国の新型コロナ感染状況、ワクチン接種率をEUと比較し、ワクチン供給の重要性がEUより低いと判断したケースなどでも差し止める方針を打ち出した。

これまでにEUが許可しなかったのは、公表されている限りアストラゼネカが伊国内で製造したワクチンのオーストラリア向け輸出(約25万回分)だけだ。しかし、モリソン首相によると、このほか310万回分の同社製ワクチンの輸出も差し止められ、予定していた3月末までに入荷されなかったという。

しかし、欧州委員会の報道官は記者会見で、これまでに差し止めたのは3月4日に決定したオーストラリア向け輸出の1件だけで、その後は許可しているとコメント。EU筋はロイター通信に対して、オーストラリアに310万回分が届いていないのはアストラゼネカの問題で、EUに責任はないとの見解を示した。

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