ドイツがコロナ規制を統一、権限を州から取り上げ

ドイツ政府は13日、感染防止法改正案を閣議決定した。新型コロナウイルスの新規感染者数が一定基準を超えた地域に全国一律の規制を適用することが柱。州によって規制、対応が異なる状況を是正し、感染防止策の効果を高めるのが狙い。メルケル首相は閣議後の記者会見で、「集中治療ベッドが満杯になるのを待っていたのでは遅すぎる」と述べ、感染第3波にブレーキをかけるには「より厳格で一貫性のある」措置が必要だと強調した。

政府は同法案を連邦議会(下院)と、州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)で今週中にも可決させ、速やかに施行する方針だ。

ドイツのコロナ規制はこれまで、メルケル首相と国内16州の首相の会議で決定してきた。規制権限を州が持っていたため、全国一律の規制を国が制定・実施することはできないという事情があった。

各州の足並みをそろえるために開く同会議では利害や思惑を背景に意見調整が毎回、難航した。また、ようやく成立した合意を順守しない州が少なくなかった。こうした状況はコロナ対策に対する国民の信頼を損なっている上、感染拡大に有効に対処できないという問題も引き起こしていた。

政府は3月初め、ロックダウン(都市封鎖)の長期化に伴う小売店の経営悪化などを踏まえ、人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)が100人以下の地域では条件付きで小売店の店舗営業を認めるといった規制緩和を決定。一方、感染状況が悪化し、7日間の発生数が3日連続で100人を超えた地域に対しては「緊急ブレーキ」を適用することも決めた。

緊急ブレーキは同感染者が100人を超えた地域に従来の厳しい制限措置を再導入するというもの。8日付で施行されたが、同ルールを拡大解釈して実質的に順守しない州が多く、緊急ブレーキを発動しない州があることから、メルケル首相は3月末、具体的な州名を挙げて批判し、姿勢を改めない場合は規制の権限を州から取り上げ、国が直接、指示を出す体制に改める意向を表明していた。

改正法案には、7日間の発生数が3日連続で100人超となった地域に緊急ブレーキを適用することが盛り込まれた。適用対象地域では◇21?5時の夜間外出が原則禁止◇食料品店や薬局、ドラッグストア、本屋、花屋など一部の例外を除き小売店の店舗営業が禁止◇私的・公的な場を問わず家族以外の人と会うことが大幅に制限――されることになる。美容・理容院は営業が認められる。

対面授業を行う学校では週に2回、抗原検査の実施が義務付けられる。7日間の発生数が3日連続で200人を超えた地域では対面授業が禁止となる。

ドイツでは新型コロナ感染が拡大傾向にあり、ロベルト・コッホ研究所(RKI)の13日の発表によると新規感染者数は141人となり、前日から5人増加した。国内412地域のうち305地域で100人を超えている。重篤化して集中治療を受ける患者も12日時点で4,662人に達し、集中治療病床の使用率は86%に上っている。

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