2021/4/26

EU情報

欧州委がAI利用の包括的規則案を発表、安全活用のルール作りで主導権狙う

この記事の要約

欧州委員会は21日、人工知能(AI)の利用に関する包括的な規則案を発表した。個人の自由や権利を保護するルールを整備し、AIに対する市民の信頼を醸成してAI活用を促進するのが狙い。リスクに応じてAI利用を禁止したり、事前に […]

欧州委員会は21日、人工知能(AI)の利用に関する包括的な規則案を発表した。個人の自由や権利を保護するルールを整備し、AIに対する市民の信頼を醸成してAI活用を促進するのが狙い。リスクに応じてAI利用を禁止したり、事前に適合性評価を求め、違反すれば巨額の罰金を科す。法的拘束力を伴うAIの包括的な規制は世界でも異例とみられるが、産業界からは「技術革新が阻害される」といった声も上がっており、今後の審議には数年を要する可能性がある。

欧州委は2020年2月に発表した「AI白書」をもとに規則案をまとめた。規則案では人間の生命や基本的人権への影響をもとに、AIがもたらすリスクを4段階に分類。違反した場合は最大で3,000万ユーロ、または全世界の売上高の6%の罰金が科される可能性がある。

最も厳しい「容認できないリスク」では、政府がAIを用いて個人の信用力を格付けするシステムの運用や、犯罪捜査などを目的とした公共の場でのリアルタイムの顔認証が原則禁止される。

2番目に厳しい「高リスク」区分では、重要インフラや生体認証、企業の採用面接などで用いられるAIシステムや、ロボットを使った手術などが規制の対象となり、第三者機関による事前審査が義務付けられる。

3番目の「限定的なリスク」では、言語分野でAI技術を利用する「チャットボット」などが対象となる。自動応答プログラムなどではAIシステムが利用されていることを明示する必要がある。

4番目の「最小限のリスク」に分類されるのは第3区分までに含まれない大多数のAIシステムで、既存のルールを満たしていれば新たな対応は必要ない。

EUが規制に踏み切る背景には、米国や中国が技術開発で先行する中、AIを安全に活用するためのルール作りで主導権を握りたい思惑がある。特に中国は少数民族ウイグル族の監視などにAIを利用しているとして国際社会から非難されており、EUとしては人権重視の立場から容認できない。欧州委のベステアー上級副委員長は「EUはこの画期的な包括的規則を通じて新たな世界の規範つくりを主導する。AIによって市民の安全と権利が脅かされた場合は「新ルールが介入する」と述べた。