英中央銀行のイングランド銀行と財務省は19日、中銀によるデジタル通貨発行を検討する共同作業部会を創設すると発表した。先進国の中銀で初となるデジタル通貨発行に向けて、具体的な取り組みに着手した格好だ。
イングランド銀行と財務省は中銀が発行するデジタル通貨を個人、法人が専用口座を持って利用することを想定している。民間事業者が発行するデジタル通貨が急速に普及する中、法定通貨化することで「通貨主権」を維持することなどが狙い。スナーク財務相は仮想通貨ビットコインになぞらえて、同通貨構想を「ブリットコイン(Britcoin)」と称した。
中銀によるデジタル通貨発行は未定だが、作業部会はリスクと便益を検証し、他の国・地域の動向もにらみながら実現の可能性を探る。作業部会はイングランド銀行のカンリフ副総裁(金融安定担当)と財務省のブラディック金融サービス局長が共同議長を務める。
世界の中銀でデジタル通貨を発行しているのはバハマとカンボジアだけだが、中国が検討中で、複数の都市で試験運用を行っている。欧州ではスウェーデンが2026年までの導入を視野に入れている。ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)が20年10月、デジタル通貨発行の可否を21年半ばに判断する意向を表明。各界から意見を聞く作業を進めている。