欧州委と英当局がフェイスブックを本格調査、広告事業など問題視

欧州委員会と英競争・市場庁(CMA)は4日、米フェイスブックが競争法に違反した疑いがあるとして、本格調査を開始したと発表した。フェイスブックが主に個人が中古品などを売買する「マーケットプレイス」に広告を出稿している競合企業のデータを利用して、自社が優位に立てるようにしているとの疑いを強めている。最終的に競争法違反と認定された場合、フェイスブックは巨額の制裁金に加え、広告収入に大きく依存するビジネスモデルの見直しを迫られる可能性もある。

欧州委は、マーケットプレイスに広告を出稿している約700万社から収集したデータを、フェイスブックがどのように利用しているかに主眼を置いて調査を進める。欧州委によると、フェイスブックは広告を閲覧した消費者の属性情報など「商業的に価値の高いデータ」を広告主から収集しており、マーケットプレイスのクラシファイド広告とソーシャルネットワークを不当に関連付けている可能性についても調査する。

欧州委のベステアー上級副委員長(競争政策担当)は声明で「デジタル経済では、競争をゆがめるような形でデータが利用されてはならない。収集されたデータがクラシファイド広告などの分野で、フェイスブックに不当な競争上の優位性をもたらしていないか精査する」と述べた。

一方、英当局はより広範な調査を実施する方針。フェイスブックが広告主からどのようにデータを収集しているか、フェイスブックでの認証を通じて他のウェブサービスやアプリケーションにログインする「シングルサインオン」が、マーケットプレイスやその他のサービスにどのような恩恵をもたらしているかなどについて調査する。

CMAのコシェリ最高経営責任者(CEO)は「フェイスブックのビジネス慣行が、マーケットプレイスのクラシファイド広告やデートサービスなどで不当な優位性をあたえていないか判断するため、フェイスブックがどのようにデータを収集し、利用しているか精査する」と述べた。

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