●極東のボストチヌイ基地、プーチン大統領の視察を受け
●2023年から新型ロケット「アンガラA5」の打ち上げを開始
ロシア政府は来年中に極東のボストチヌイ民用宇宙基地の建設を完了する方針だ。3日のプーチン大統領による基地視察後、国営宇宙開発企業ロスコスモスのドミトリー・ロゴシン社長がインタファクス通信に明らかにした。2023年から新型ロケット「アンガラA5」の打ち上げを開始する。
ボストチヌイ基地はモスクワの東6,000キロ、中国との国境近くに位置する。ソ連崩壊により独立し外国となったカザフスタンのバイコヌール基地への依存から脱却する目的で2010年に着工した。16年から「ソユーズ2」の発射が始まったが、アンガラ打ち上げ用の発射台は未だに工事が終わっていない。
ボストチヌイ基地は数年前から汚職で世間を騒がせてきた。2年前には「数十億ルーブルもの機械調達資金が消えた」事実が発覚。128件について刑事手続きがとられ、30人以上が有罪判決を受けたという。
今年3月には、建築基準違反を理由に裁判所が発射台工事を90日間差し止めた。また、経済紙『コメルサント』の6月の報道によると、燃料倉庫工事などの架空請求があったことが新たに確認された。一方で現地の工員の賃金は未払いという。
プーチン大統領は当初予定を変更し、東方経済フォーラム(EEF)出席のためウラジオストクへ向かう途中でボストチヌイを訪問した。完工・全面稼働の時期を自ら提示することで、長引く工事に終止符を打ちたい意向とみられる。