4-6月期の名目賃金5.5%上昇、コロナ禍前の水準回復

ドイツ連邦統計局が22日発表した4-6月期の名目賃金指数は前年同期比5.5%増と大幅に伸びた。比較対象の2020年4-6月期はコロナ禍第1波の直撃で4.0%減と大幅に低下したが、今年同期は感染防止策の緩和で経済が改善したことからコロナ禍前の水準を回復した。

昨年同期は感染防止対策の一環で小売店やサービス事業者の多くが店舗営業の停止を命じられ、操短を実施した。操短の対象となった被用者は操短に伴う賃金の減少分の最低60%に相当する額を手当として国から受け取ることができるものの、同手当は実働に伴い支給される賃金ではないことから、賃金が大きく減少していた。今年4-6月期は操短が大幅に減少。フルタイムの被用者の週実労働時間は前年同期比4.2%増の38.3時間となり、コロナ禍前の19年同期(39.2時間)に大きく近づいた。

名目賃金を職位・職能別でみると、熟練被用者と非熟練被用者はそれぞれ9.3%増と伸び率が特に大きかった。前年同期は操短の影響でそれぞれ8.9%減、7.4%減と大幅に落ち込んでおり、その反動で大幅に伸びた。前年同期の減少幅が小さかった高度の専門職と管理職は増加幅がそれぞれ4.6%、3.4%にとどまった。専門職は4.6%だった。

雇用形態別では、フルタイムの正社員が5.6%増、パートタイムの正社員が4.6%増、ミニジョブ(月収450ユーロ以下)が3.7%増となっている。

性別では男性が5.7%増、女性が4.8%増だった。

名目賃金から消費者物価の上昇(インフレ)で目減りした分を引いた実質賃金は前年同期比の伸び率が3.0%にとどまった。インフレ率が2.4%と高水準に達したことから水準が強く押し下げられた。前年同期は実質賃金が4.7%も低下しており、今年4-6月期の水準はコロナ禍前を依然として下回っている。

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