英の食肉業界がEU離脱でピンチ、解体職人不足でEUに委託

英国でEU離脱に伴い、食肉を解体処理する職人が不足し、食肉加工事業者や畜産農家が悲鳴を上げている。業界団体によると、職人が15%以上も足りず、国内での処理が難しいため食肉用家畜の在庫が積み上がり、これまでに1万頭以上の豚が殺処分された。苦肉の策として、EU諸国に屠体を送り、処理を委ねざるを得ない状況となってきた。

職人の不足は、英国が1月にEUを完全離脱し、EUに加盟する中東欧諸国などから労働者が自由に流入できなくなっているのが要因。国内で屠殺はできても、熟練の技が必要な解体処理を行うのが困難となっている。

同問題に対応するため、牛肉加工業界ではアイルランドに屠体を送り、同国で処理された牛肉を輸入する業者が出てきた。豚肉加工業界も追随し、近くオランダに処理を委託し始める見込みだ。

海外で解体、処理を行うとコストがかさむ。それでも、業界が「溺れかけている状態にある」(食肉加工事業者連盟の代表)ため、異例の措置を迫られている状態だ。

対応を求められている英政府は、食肉解体処理の職人を海外から急いで確保するため、800人分の臨時就労ビザを発給する方針を固めたが、業界内では長期的な解決策にはならないとして、先行きへの懸念が強まっている。

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