欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/11/15

EU情報

21年のユーロ圏成長率、欧州委が5%に上方修正

この記事の要約

欧州委員会は11日に発表した秋季経済予測で、ユーロ圏の2021年の域内総生産(GDP)実質伸び率を5.0%とし、前回(7月)の4.8%から0.2ポイント上方修正した。新型コロナウイルスワクチンの接種が加速し、経済再開が進 […]

欧州委員会は11日に発表した秋季経済予測で、ユーロ圏の2021年の域内総生産(GDP)実質伸び率を5.0%とし、前回(7月)の4.8%から0.2ポイント上方修正した。新型コロナウイルスワクチンの接種が加速し、経済再開が進んでいることなどから、景気が当初の予想を上回るペースで回復すると見込んでいる。(表参照)

22年の予想成長率は4.3%で、前回の4.5%から引き下げたものの、経済が堅調を維持すると予想している。EU27カ国ベースも21年が5.0%、22年が4.3%で、ユーロ圏と同様の修正となった。23年はユーロ圏が2.4%、EUが2.5%。

欧州委は経済・社会活動の制限緩和に伴う個人消費の拡大、雇用の改善や、コロナ復興基金の始動で官民の投資が進み、景気拡大が続くとの見通しを示した。

ただ、エネルギー価格の高騰を主因とする物価の急上昇、サプライチェーンの混乱で半導体など生産資材の需要に供給が追い付かない状況にあることを懸念材料に挙げた。欧州で新型コロナ感染が再拡大しており、再び厳しい行動制限が実施される可能性もあり、リスクバランスは下振れだと指摘した。

とくに警戒しているのは物価の急激な上昇。ユーロ圏の10月のインフレ率は前年同月比4.1%で、前月の3.4%から0.7ポイント拡大。欧州中央銀行(ECB)が目標とする2.0%を大きく超え、2008年7月以来の高水準に達した。

欧州委は21年の予想インフレ率を2.4%とし、前回の1.9%から大幅に上方修正した。エネルギー価格の高騰が収まることを見込み、22年には2.2%、23年には1.4%まで縮小すると予測しているが、サプライチェーン混乱が長期化すれば同水準を超えると懸念している。

主要国の21年の予想成長率はドイツが2.7%。半導体不足の影響が深刻なため、前回から0.9ポイント引き下げた。フランスは6.5%、イタリアは6.2%で、それぞれ前回から0.5ポイント、1.2ポイントの幅で上方修正した。