アイルランドに本拠を置く欧州最大手の格安航空会社(LCC)ライアンエアーが、ロンドン証券取引所(LSE)での上場を廃止することを検討している。マイケル・オレアリー最高経営責任者(CEO)が1日に明らかにした。英国のEU離脱に伴い、同社の株式の取引がLSEで急減しているためで、上場を主要市場のダブリンに一本化する方針だ。
ユーロネクスト・ダブリンとLSEに重複上場しているライアンエアーは、英国がEUを完全に離脱した2021年1月から英国の機関・個人投資家による株式取得を禁止している。EUでは域内とスイス、欧州経済領域(EEA)に加わるリヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェーの株主の持ち株比率が過半数を超える航空会社を「EUの航空会社」として認定しており、同規制を順守しないとEUの事業許可が取り消されるためだ。
しかし、その影響でLSEでの1~10月の月間平均出来高が20年の平均を7割近く下回る水準に低下した。このため、大きなコストを負担して重複上場する意味が薄れている。
オレアリーCEOは記者会見で、「向こう6カ月以内に(LSE)での上場を廃止するだろう」と述べた。
LSE上場企業では、豪英資源大手のBHPグループが8月、重複上場を取りやめ、オーストラリア証券取引所に一本化する意向を表明していた。英のEU離脱によってユーロ建て株式取引の大半がアムステルダムに移っているLSEにとっては、有力企業の相次ぐ撤退は痛手で、ロンドンの国際的な金融センターとしての地位も低下している状況だ。