英政府は9日、国内の主要都市を結ぶ高速鉄道「ハイ・スピード2(HS2)」向け車両の設計、製造、保守を日立製作所と仏アルストムの共同事業体に発注したと発表した。契約額は19億7,000万ポンド(約2,957億円)に上る。
両社が英国に設立した共同事業体「日立アルストム・ハイスピード(HAH-S)」が受注したのは、HS2敷設プロジェクトの第1期となるロンドンとバーミンガムを結ぶ路線に投入される54編成の車両(1編成8両)。最高時速は360キロメートルで、欧州最速となる。英国内にある生産拠点で製造する。保守契約の期間は12年間。
英国では高速接鉄道網の整備が遅れており、英仏海峡を通ってロンドンとパリを結ぶ「HS1」(2007年開通)があるだけだ。HS2はこうした状況を改善するため、政府が12年に承認したプロジェクト。ロンドンとイングランド中北部を結ぶ。第1期ではロンドンとバーミンガムを結ぶ区間、第2期ではバーミンガムからマンチェスターとリーズの2方面に分かれる区間を整備する。
第1期は工事が始まっているが、事業費が膨らんだことなどで混乱し、開業は予定していた26年からずれ込むのが確実となっている。英政府によると、車両製造は2027年に開始の予定。運行開始時期については29~33年と幅を持たせた。
HAH-Sの高速車両はバーミンガムで接続する在来線でも利用される。