感染力が高い新型コロナウイルスのオミクロン変異体が急速に広がっている欧州で、感染者や濃厚接触者の隔離期間を短縮する動きが相次いでいる。オミクロンの潜伏期間が従来株より短いことや、ワクチンの普及で重症化が抑えられていることなどを踏まえ、隔離期間を短縮して、感染拡大に伴い医療機関や交通機関、学校などで病欠による人手不足が深刻化している現状に対応する。
英政府は13日、首都ロンドンを擁するイングランドで感染者の隔離期間をこれまでの7日間から最短で5日間に短縮すると発表した。17日から適用する。発症日(無症状の場合は検査で陽性が確認された日)の翌日から5日目に検査で陰性となり、翌日も陰性で発熱していなければ隔離が解除される。ただし、隔離終了後も周囲の人を感染させる可能性があるため、マスクの着用や在宅勤務を求める。5日目の検査で陽性となった場合は、2日続けて陰性が確認されるまで隔離を継続する。
一方、濃厚接触者に関するルールに変更はなく、ワクチン接種を完了していれば隔離は不要だが、未接種の場合は10日間の自主隔離が求められる。
フランスでも3日から隔離ルールが緩和された。ワクチン接種を完了した人が陽性と判定された場合、自己隔離期間はこれまでの10日間から7日間に短縮され、検査で陰性が確認されれば最短5日間で隔離が終了する。ワクチン未接種の場合は10日間の自己隔離が必要だが、陰性が確認されれば7日間に短縮できる。また、濃厚接触者は7日間の自主隔離が求められるが、ワクチン接種を完了していれば3回の検査を条件に隔離が免除される。
ドイツ政府も7日、飲食店を利用する際の条件を厳格化する一方で、隔離期間を短縮する方針を打ち出した。感染者の隔離期間は14日間から10日間に短縮され、現在は検査で陰性となれば7日間で解除可能となっている。また、濃厚接触者も隔離期間が10日間に短縮され、ワクチンの追加接種を受けていれば隔離措置が免除される。
イタリアも昨年末にルールを変更した。ワクチンの追加接種を受けるなど一定の条件の下で感染者の隔離期間を7日間に短縮し、濃厚接触者は追加接種と医療用マスクの着用などを条件に、隔離を免除している。