英政府統計局(ONS)が11日発表した2021年の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動分を除いた実質で前年比7.5%増だった。新型コロナウイルス感染拡大を受けた行動制限が緩和されたことで、経済活動の再開が本格化。ロックダウン(都市封鎖)などの規制下で9.4%減と落ち込んだ20年から急回復し、第2次世界大戦以降で最大の伸び率となった。
一方、21年10~12月期の実質GDPは前期比1.0%増で、3四半期連続のプラス成長となった。伸び率は19年10~12月期を若干下回ったものの、ほぼコロナ禍前の水準まで回復した。GDPの約6割を占める個人消費は1.2%増と、前期の2.9%増から鈍化したが、輸出が4.9%増と高い伸びを示した。
ただ、12月のGDPは前月比0.2%減となり、5カ月ぶりに前月の水準を下回った。変異ウイルス「オミクロン」の感染拡大を受け、一部の規制が再導入されたことで経済活動が停滞。特にバーやレストランなどが苦戦を強いられ、サービス業が0.5%減と振るわなかった。
同時に発表された貿易統計によると、21年の貿易・サービス収支は288億ポンドの赤字となった。20年は29億ポンドの黒字だった。EUからの完全離脱に伴い新たな通関手続きが必要になった影響で、対EU貿易が縮小し、21年は1997年の統計開始以来、初めてEU域外からの輸入がEU加盟国からの輸入を上回った。