欧州委員会は11日、米アルファベット傘下のグーグルと米メタ(旧フェイスブック)が結んだオンライン広告に関する協定がEU競争法に違反する疑いがあるとして、本格調査に入ったと発表した。
欧州委が問題視しているのは、両社が2018年に結んだ「ジェダイ・ブルー」と呼ばれる協定。ウェブサイトやアプリ上に表示されるディスプレイ広告のオークションをめぐり、グーグルが自社の入札プログラムと競合するサービスを排除するため、落札できる頻度を上げるなどフェイスブックを優遇したとされる。グーグルは独立系の広告技術プレイヤーが開発したヘッダー入札の急速な広がりを警戒しており、メタが同分野に本格参入するのを防ぐため、同社をパートナーとして取り込む狙いがあったとみられる。
両社の協定が競争法違反と認定された場合、巨額の制裁金を科される可能性がある。欧州委のベステアー上級副委員長(競争政策担当)は声明で「多くの媒体社は消費者向けオンラインコンテンツの資金源をディスプレイ広告に依存している。グーグルとメタの取り決めを通じ、グーグルの公開入札プログラムと競合するサービスが排除された可能性がある。これはオンライン広告市場における競争を制限し、歪めるもので、媒体社や消費者に損害を与える」と指摘した。
一方、英国の競争・市場庁(CMA)も同日、グーグルとメタに対して同様の調査を開始したと発表した。欧州委は英当局と連携して調査を進める方針を示している。
グーグルとメタの協定をめぐっては、20年12月にテキサス州など米10州の司法長官が共同で訴訟を提起し、現在も調査が行われている。