ドイツ政府は9日の閣議で、感染防止法改正案を了承した。新型コロナウイルス感染防止策の緩和を取り決めた国と州の決議に基づくもので、20日から大半の規制を廃止。個々の地域で感染状況が悪化した場合は当該地域(ホットスポット)限定で規制を強化できるようにする。議会の可決を経て施行される。
オーラフ・ショルツ連邦首相と国内16州の首相は2月中旬、コロナ規制を3段階で緩和することを取り決めた。現在は緩和の第2段階にあり、20日から第3段階が始まることになっている。
改正法案は第3段階の感染防止策の枠組みを定めたもので、施行されると「2G」や「3G」など接種、感染からの快復、陰性証明の提示を入店やイベント参加の条件とするルールは廃止される。また、マスク着用義務は地域公共交通機関や病院、介護施設などに限定され、小売店や飲食店、スポーツ観戦、文化イベントでは義務が廃止される。
個々の地域で入院する感染者が大幅に増え医療がひっ迫したり、重症化リスクの高い新たな変異株が流行した場合は、それらの地域を対象とする規制強化を各州の議会が決議し、ピンポイントで対処する。
ドイツの新型コロナ感染者数は依然として高水準で推移している。デルタ株など従来の変異株に比べ重症化リスクの低いオミクロン株が主流となっていることから、入院したり集中治療を受ける患者は比較的少ないものの、感染リスクが高い状況は変わっていない。マルコ・ブッシュマン法相は、責任ある行動は今後も必要だと市民に注意を促した。
改正法案は9月23日までの時限法案となっている。秋になり気温が下がると感染の波が再び到来すると予想されることから、同24日以降は新たな規制の枠組みで対応する意向だ。