欧州委員会は23日、EU域内での食料増産に向けて、域内の農家に総額5億ユーロの直接補助金を交付する計画を発表した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う食料安全保障強化策の一環。加盟国と欧州議会の承認を経て実施する。
ウクライナとロシアは世界有数の穀物産地で、小麦の30%を供給している。欧州委はウクライナ危機で両国からEUへの食料供給が途絶えたとしても、EUは穀物の純輸出地域であることから、即座に食料危機にさらされることはないとしている。
しかし、EUの穀物農家が肥料をロシアに大きく依存しており、エネルギーに加えて肥料の価格高騰で厳しい状況にあるため、EUの2022年予算の予備費から5億ユーロを拠出し、農家を支援することを提案した。加盟国は独自の判断で、補助金を最大200%増額できる。
このほか、休閑地の利用規制を一時的に緩和し、穀物や飼料を耕作できるようにすることなども提案した。